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展示レポート

安藤榮作 個展 | 第28回 平櫛田中賞 受賞記念 安藤榮作展

2017年8月に開催された、彫刻家・安藤榮作 氏の個展です。安藤氏は30年以上に渡り、彫刻家として活動を行っている方です。1990年から福島県に移住し活動拠点にしていましたが、2011年に東日本大震災で被災し、現在は奈良県に移住し制作を続けております。原木を手斧一本で叩き、作り上げられた作品は、情熱とエネルギーを宿すように荒々しい木肌のままに仕上げられています。

展示作品

作品「狛ちゃん」。狛犬と聞くと目玉をぎょろりとさせ、
炎のような毛並みをなびかせている印象があります。

しかし等身が小さくデフォルメされた当作品は、
遊び相手を探しているような、不思議なかわいらしさがあります。

荒々しい木肌には、手を伸ばして触れてみたくなるような魅力があります。
原木から引き出すような意識で、斧を叩きつけて作品を形作っていくそうです。

ざらついた姿は、根を生やしていた頃の木々がそのまま形を変えて鎮座しているかのよう。
遠くを見つめるような風貌は、子供たちに触れられるのを待っているような、そんな温かさを感じます。

訴えかけるような険しい表情を見せるウサギ。
力強くそびえ立つ両耳は、今にも羽ばたきそうです。

作品に囲まれていると、どこか見知らぬ土地に迷い込んでしまったかのよう。
凹凸の際立つ造形、飾りをまとわない原始的なたたずまいが、異国の風を運んでくるようです。


作品「鳳凰」。風音と共に咆哮が響いてくるような、壮大な躍動感があります。
堂々と広げられた翼。波打つような木肌が、嵐の中を駆け抜けるようです。
見るものを動けなくする、そんな強い引力を宿しています。

鑑賞後記

原木の質感が残された表面には、木をたたく無数の音が閉じ込められているようでした。過剰な装飾や色付けを行わない生のままの作品たちは、荒々しくも親しみやすい唯一無二の魅力が詰まっています。動物や観音像の表情が伸び伸びと見えるのは、そんな安堵感がもたらしているのかもしれません。ざらついた木肌に触れたらいったいどんな感触がするのだろう。そんな疑問を胸に会場を後にしました。

展示情報

展示名:第28回 平櫛田中賞 受賞記念 安藤 榮作展
期間:2017年8月9日(水)から 8月15日(火)まで

展示場所:日本橋タカシマヤ 美術画廊 (6F)
最寄り駅:東京駅、都営浅草線 日本橋駅
所在地:東京都中央区日本橋2丁目4番1号