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展示レポート

東恩納裕一 個展 | blank – prints and drawings –

2017年8月に開催された、美術作家・東恩納裕一 氏による個展です。氏は1987年に初個展を開催し、以降アメリカ・フランス・イタリアなど国内外で多数展示を行っています。モチーフにはレース・カーテン・花など、日常に存在する少女的な物を、初期の頃より用いています。2001年に制作を開始した蛍光灯を組み合わせた「シャンデリア」シリーズ、手鏡、卓上鏡などを張り合わせて作られたミラーボールなど、衝撃的な視覚表現に国内外から高い評価を受けています。

今回のタカシマヤでの個展は8年ぶりとなり、タイトルの「blank」は、用紙の白を意味しています。氏が魅了する画家(ゴヤ、ヘンリー・ダーガー、ルシアン・フロイドなど)をモデルに彼らが感じた不安を切り取るように制作した、ドローイング作品が中心となります。

展示作品

チープな手鏡、卓上ミラーによって構成されたミラーボール。
華やかさの象徴のように回転を続けますが、つぎはぎされた異様な形状が、
不安を抱える人々の視線のように光を反射します。

破裂するミラーボール。
絶望と虚無がまぜこぜになったような表情は、ムンクの「叫び」からヒントを得ています。
少ない色、線による描画にも関わらず、人々の言い知れない不安が聞こえて来るようです。

ファンシーな色が目を引くキャンディー。
氏はたびたび巨大なキャンディーをモチーフとしていますが、
その姿は圧迫感をともないつつもどこかユーモラス。
まるで飛来した宇宙船から逃げ惑うように、人々が駆けています。

まばゆい光を放つ「シャンデリア」。
ありふれた蛍光灯を組み合わせた姿は、過剰な光に急かされる社会への皮肉のようにも見えます。
しかし、生き物のような曲線を描く配線、金属の冷たい色合いなど、
蛍光灯がむき出しのままで形作られていることにより、単なる照明にとどまらない美しさを感じました。

「untitled(stripe)」
格子のような照明は、高名なブランドロゴのように洗練されています。
しかし作品下部から床にかけては、配線が無造作に垂れ下がり、
美しさを際立たせる対比のようにも、醜さとは切り離せない現実のようにも感じます。

鑑賞後記

会場に入り、最初に目を奪われたのはミラーボールでした。きらきらと忙しなく光を放ちながらも、どこか不安をかき立てる異様な形状。シャンデリアや色数の抑えられた絵画など、展示会場は潔癖なほど白い光に覆われています。しかしそこから感じたのは、タイトルが示す通り白紙、空白という虚無感でした。

騒々しい華やかさから、心もとなさや動揺ばかりを切り抜いたような空間に、いつしか朽ち果てた廃ビルの一角のように、感じずにはいられませんでした。

展示情報

展示名:blank – prints and drawings –
作家:東恩納裕一
期間:2017年8月16日~9月4日

展示場所:日本橋タカシマヤ 美術画廊 (6F)
最寄り駅:東京駅、都営浅草線 日本橋駅
所在地:東京都中央区日本橋2丁目4番1号