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展示レポート

中島晴美 個展 | 不条理を開示する

2017年9月に開催された陶芸作家・中島晴美 氏の個展「不条理を開示する」です。氏は1973年に大阪芸術大学を卒業し、70年代から展示活動などを多数行っています。80年代あたりからドット柄を用いた作品を多数発表し、立体造形の魅力に憑かれた初期の衝動を原点として、内なる自己を込めて制作を行っています。

氏は芸術について下記のように語ります。

人は綺麗なものに感動する。一方で、人は醜いものにも心動かされる。ザワザワする絵画にも、悲しい物語にも、理不尽な運命にも、人は感動する。また、内なる自己を確認することで、生きている実感を持つこともある。芸術は人間が人間として生きる上でなくてはならない切実なものである。

~中略~

人は不条理を抱えて生きている。理屈では解決できない「命の哀しみ」を抱えて生きている。だからこそ芸術がある。

引用:作家ウェブサイト

人々が普遍的に抱える生命の不条理。自己と向き合い不条理と対峙し続けた、作家の内面が陶芸作品として可視化されます。

展示のようす

鑑賞後記

陶芸の実用的な枠を超えた自由な形状は、動き回る生き物のようでもあり、増殖を繰り返す宇宙のようにも感じられました。作品はいずれも「不条理を開示する形態」と名付けられ、個々に番号が付けられています。

ブルーのドット柄は不条理に対する哀しみのよう。浮き上がっては消えていく、止まることのない泡のような感情。そんな形にならない複雑な気持ちが、滑らかで美しい形状に表れていると感じました。

鑑賞を行うなかで徐々に柔軟な視点が出てくると、未知の植物や未来の建造物のように見えてきました。様々な思いが絶えず行き交う心の内とは、あらゆる姿を見せる無二の物なのではないか。だとすれば、自分の内面に作品のような形状が現れた時、どのような感情が源流となるのだろう。

そんな想像をかき立てる展示でした。

展示情報

展示名:不条理を開示する
作家:中島晴美
期間:2017年9月27日(水)~10月16日(月)

展示場所:美術画廊X(日本橋タカシマヤ 6F)
最寄り駅:東京駅、都営浅草線 日本橋駅
所在地:東京都中央区日本橋2丁目4番1号