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展示レポート

秘夢・hymn ~3つの内宇宙~ | グループ展

2017年9月20日から開催された、鶴見厚子・有賀和郎・宝月輝 の3氏による絵画グループ展です。3氏は普段は個別に絵画制作を続けていますが、その根底には共通のテーマ「夢」がありました。今回の展示は、それぞれが眠りの中で垣間見た内宇宙、三者三様の「夢」を表現した作品が並びます。

展示のようす

鶴見厚子「夢のかけら」

鶴見氏は鳥肌が立つほどの正夢を幾度か見て以来、
30年以上に渡り夢日記をつけ、睡眠時に見た夢を描き続けています。

近年は夢を見ている自分を小さなシルエットとして描き、
壮大な内宇宙である夢とのはざまで得る体感を、表現しようとしています。

 

鶴見厚子「2017年の初夢」

海面に漂う巨大な頭部は作家自身の物です。
制作日は2017年1月2日。夢を見た直後に描かれたことが分かります。

 

鶴見厚子「2017年の初夢」

 

鶴見厚子「夢を見る人」

 

有賀和郎「組絵(密夢)」

有賀氏は大学時代から作曲を行い、30代より絵画制作を始めています。
1990年代から展示活動を多く行い、絵画にとどまらず音楽、映像など様々な作品を発表しています。

作家は「夢」を、脳内で秘かに発酵された祈りのような物ととらえ、
完成した絵を自ら「夢のリアリズム」と呼んでいます。

脳の奥には太古から発酵してきた気配が存在する。
脳が本質的に有していると思われるこの現象を、様々な手法で表出することを目的としています。

 

有賀和郎「心の発酵」

 

有賀和郎「夜中の駅」

 

有賀和郎「知らない村」

 

宝月輝「月が目覚めた頃」

宝月氏は抽象表現を用いて、見える世界に付随する見えない世界を描いています。
テーマは「夢」に限らず、様々な刺激がもたらす想像の世界にまで広がり、
キャンバスを奔放に飛び跳ねる色や線で、その感触を表現しています。

 

宝月輝「明日への扉」

 

宝月輝「秘夢」

 

宝月輝「オータム・イン・ニューヨーク」

鑑賞後記

夢というテーマのため作品の多くは抽象的なものでしたが、その世界はどれも個性的で、作家の精神世界を垣間見るような感覚におちいりました。鶴見氏の作品は夢特有の奇妙な雰囲気が描かれているようで、次々と移り変わる夢の中で、翻弄されながら次第にその世界に飲み込まれていくような、得も言われぬ不思議な感情を抱きました。

有賀氏の作品は退廃的な空気があり、緻密な描写のあいだには向こう側が透けて見えるようで、作品に収まりきらない奥行を感じました。人々の記憶から失われ、朽ちた街に夕陽が差し込むような、そんな世界を想像させられました。

宝月氏の作品は自由奔放な色使いが魅力的で、睡眠時の心象風景をそのままキャンバスに閉じ込めてしまったようでした。かすれたり飛び散ったり重ねられたり、筆跡の一つ一つが様々な動きを連想させるようで、
どれも絵画という枠にとどまらない印象的な作品でした。

多くの夢はすぐに忘れられてしまい、とりたてて話題になることもありません。しかし今回の展示で様々な作品を見て、作家の考えを聞いたことにより、眠りが見せる世界の神秘性と、その可能性を改めて感じることができ、素晴らしい鑑賞体験となりました。

展示情報

展示名:秘夢・hymn ~3つの内宇宙~
作家: 鶴見厚子有賀和郎、宝月輝
期間:2017年9月20日(水)~23日(土)、28日(木)~10月1日(日)
開催時間:13:00~19:00(最終日 17:00まで)

展示場所:ギャラリーオル・テール
最寄り駅:東京駅、京橋駅
所在地:東京都中央区京橋1-6-10 ミカタビル地下1階