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展示レポート

井上洋子 個展「Yoko Inoue Ex.」

2018年3月に、井上洋子 氏の個展「Yoko Inoue Ex.」のレポートです。井上氏は当ギャラリーのオーナーであり、自身も抽象画をメインに制作しています。

様々な想いや感情を外に向かって発信したい。そんな意味が込められた、モノクロを基調とした作品が展示されました。

展示のようす

井上氏は30年ほど前、子どもが成人したことをきっかけに趣味で絵を描き始めました。初めて個展を行ったのは20年ほど前で、以降積極的に展示活動を行っています。

長きに渡り抽象画を描いていますが、スケッチなどに出かけることもあるそうです。しかし具象画を描いていると色々な物を省いてしまいたくなるため、やはり抽象画に戻るそうです。

▲激しい躍動感のある作品。井上氏は特定の感情を伝えたい、というよりは、自身の内側にある存在そのものを発信したい。という思いで制作を行っています。

テクノロジーの進化で情報発信が日常的になった今、気持ちを発信して連なっていきたい。それゆえ作品はどれも、留まることのない動きを感じさせるのです。

▲打ちっぱなしのコンクリートのように、退廃的な雰囲気を放つ作品。胸の奥で曖昧に渦を巻く様々な感情。同じ場所に同じ形のまま留まることはなく、どこか出口を探しているような激しい勢いを感じます。

▲モノクロの中にこつ然と姿を現す青。その鮮やかな様子は、亀裂から差し込む外界の光のようです。突如現れた一筋の光に導かれるように、暗闇の奥深くから音もなく空を見上げる。そんな物語を感じます。

▲広々とした美しいギャラリー。Gallery 風はオープンから12年が経ち、現在の場所に移ってからは1年ほどになります。抽象作品をメインに扱っていますが、具象画のグループ展なども行われています。

情報発信が容易になり、誰もが日常的に行うようになる。それはつまり、顔が見えなくとも知らず知らずのうちに互いに影響を与えあっている、ということなのだと思います。

様々なメディア、ツールがあふれる現代において、作品制作という手段で自身を発信する。無理な飾り気のない、それでいて真っ直ぐな感情が伝わってくるような作品は、そんな一貫した姿勢から生まれるのではないかと感じました。

色数が少ないにも関わらず、活き活きとした鮮やかさ、人間らしい温かさを放つ作品たち。作品を通して自身と向き合わざるを得なくなるような、力強さを感じさせる展覧会でした。

展示情報

展示名:Yoko Inoue Ex.
作家:井上洋子(イノウエヨウコ)
期間:2018年3月26日(月)~3月31日(土)

展示場所:Gallery 風|Twitter
所在地:東京都中央区銀座8-10-4 和孝銀座8丁目ビル2階

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