展示レポート
石井誠 個展「きみは僕 I am , We are」
2018年9月に開催された、石井誠(イシイマコト)氏の個展「きみは僕 I am , We are」のレポートです。
石井氏は1972年、神奈川県生まれ。1997年に東京造形大学を卒業し、2001年頃から各地で展示活動を行っています。
近年は Silver Shell で定期的に個展を開催しており、本展では子どもをモチーフとした絵画、木彫り作品などが展示されました。
展示のようす

「Bird carpet」
▲会場に入ると真っ先に目につく作品。唇を結び、まっすぐな視線を投げつつもどこかあどけない表情の人物は、石井氏のお子さんがモデルになっています。
実際に見ながら描くと作品イメージと異なってしまうため、制作の際は想像のままにキャンバスに向かうそうです。
▲頭上の物体は人物の心情を表現しています。こちらの作品は真っ黒な背景が示すとおり、暗い感情を表しています。
遠くを見つめるようなぼんやりとした視線と、つり上がったフクロウの目が対象的で、なにか複雑な想いを内に秘めているようです。

「Something mountain smell」
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「Tempie inside you(左)」「Good Morning(右)」
▲会場の一角には額装された小品が並んでいました。

「Home inside you」
▲木彫り作品。高さは60~80cmほどはありそうで、黒く塗りつぶされた下部からずっしりとした印象受けます。立体になったことにより、絵画よりいくぶん大人びて見えます。

「Something mountain smell」

「Stand barehoot in the field」
▲会場の中央に設置された木彫作品。荒々しく残された木の質感が、うつむきがちの視線と相まって淋しげな雰囲気をまとっています。
石井氏は在学中から金属彫刻を多数制作しており、頭上のハットなどは当時から培ってきた技術をもとに作られています。

「pot」
▲子どもたちを描いた作品の向かいには静物画が展示されていました。鈍い色を影のように放つテーブル、冷たい光を映すようなポットの姿が、しんとした独特の空気を感じさせます。
子どもたちの肖像はいずれも、無骨な線でデフォルメに描かれています。まるっとした目、だいだいに色づいた頬からは年相応の幼さを感じ、頭上に浮かぶ様々な物体はどこかユーモラスです。
しかしその表情はただ可愛らしいだけではなく、胸にあしあとを残されるような忘れがたい印象を持たずにはいられません。
はじけるような笑顔、あふれる涙。そういった分かりやすい感情ではなく、子どもゆえの言葉では表すことができない想いが静かに伝わってくるような、飾り気のない表現だと感じました。
素材の質感が際立った彫刻作品など、様々な作品が集う非常に見ごたえのある素晴らしい展示でした。
きみは僕 I am , We are
詳細ページ:Silver Shell
作家:石井誠(イシイマコト)|Facebook・Instagram
期間:2018年9月7日~9月21日
展示場所:Silver Shell(中央区京橋)
所在地:東京都中央区京橋2-10-10 KCビル1F