展示レポート
小林清美 個展|針金作品展
2018年3月に開催された、小林清美 氏の個展「針金作品展」のレポートです。
小林氏はArt Space RONDOのスタッフでもあり、同ギャラリーで開催されているワイヤーアートのワークショップの講師なども務めています。
小林氏は年に1~2度ほど、同ギャラリーで個展を開催しており、今年1月にも「針金作品展」を行いました。独自にライトアップされた室内で、針金という特性を活かした光と影の演出がなされます。
展示のようす
▲壁際から入口の方を眺める猫。真鍮製の針金で作られた目が、闇夜にきらめくような輝きを放っています。黒い針金は、ホームセンターなどで取り扱っている工業用のワイヤーが使われています。
針金にも様々な種類があるそうで、作品や部位によって太さなどを使い分けているそうです。
▲扉を開けてすぐに目につく看板。後ろから照明が当たることにより、壁に影が映り文字が読めるようになっています。 一筆書きの要領で造形された文字。静かな夜に人知れず闊歩する、猫の楽しげな雰囲気が伝わってくるようです。
▲今にも動き出しそうな活き活きとした表情は、空洞であるということを忘れさせるようです。会場のあちこちに見られる、うっとりと心を奪うような光と影の演出。針金という素材ならではの表現です。
▲ 制作において猫の型などは用いず、足元から組み上げるように作っています。切れ目がないように見えますが、カットした何本ものワイヤーが繋がって造形されています。
針金は巻かれた状態で売られています。そのため巻きぐせを利用したり、伸ばしたりしながら特性を生かして作っているそうです。
▲会場の一角にはレトロな照明が置かれていました。購入した当初、照明には笠がなく自分でつくろうと思ったそうです。その時に影の美しさに気づき、針金作品をつくるきっかけになりました。
▲金属で成形された、親指ほどの小さな猫。手のひらに乗せると、大きさに反してずっしりと重みを感じます。
▲ 前回の個展のテーマとなった、物語写真集です。母猫、姉猫、子猫が月夜に冒険に出る物語です。
針金という固く冷たい印象のある素材。しかし会場の作品はどれも、ふさふさとした毛並みや体温さえ感じさせるようで、線を編んで作られたということを忘れさせるようでした。
夜に人知れず行われている猫の集会に足を踏み入れてしまった。光の演出からそんな想像を巡らさずにはいられない、素敵な別世界に連れて行かれるような印象深い展示でした。
展示情報
展示名:針金作品展
作家:小林清美(コバヤシキヨミ)
期間:2018年3月22日(木)~3月31日(土)13:00~18:30(最終日 17時まで)
休み:25日(日)、26日(月)、28日(水)
展示場所:Art Space RONDO
所在地:東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル5F501