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展示レポート

薦田梓 展 | – すべてのはじまり –

展示のようす

「アカルイホウヘ Ⅲ」

 

「Belt of Venus」

 

「life」

 

「春香 Ⅳ」

 

「roots Ⅵ」

 

 

解説・鑑賞後記

2017年10月に開催された、日本画家・薦田梓 氏の個展「- すべてのはじまり -」です。氏は2006年ごろから東京・神奈川・ニューヨークなどで展示活動を行い、多数の作品を発表しています。今回の展示は3年ぶりの個展になります。

氏が描くのは、深海や宇宙をモチーフとした果てしなく広がる空間、果てしない時間の一瞬。また太古から変わらぬ姿で海中を漂い続けるウミユリ。生命の起源や進化に興味を持ち、幼い頃から抱いていたという深海や宇宙に対する恐れを、パネルという限られた領域の中に表現しています。

日本画特有の霞が降りたような淡い色合い。緑がかった青が好きだという氏の、永遠を感じさせるようなグラデーション表現。それは遥か頂きから宇宙を見上げるような、途方もない美しさを感じる一方、光さえ届かない深海を漂うような恐ろしさを覚えます。

下記「アカルイホウヘ Ⅲ」は、海中から宇宙を眺めるイメージで描かれています。枝のように生い茂る黒い影は海藻の一種に、白い雪のような球体は泡に見えますが、これらは特定の物体を表しているわけではなく、鑑賞者が自由にとらえて構わないと氏は話します。

「アカルイホウヘ Ⅲ」

 

作品の一部は専用のパネルに和紙を貼り付けて、その上からアルミ製の箔を敷いて彩色しています。作品によっては格子状の線が浮き出ているものがありますが、これは重なり合う箔の凹凸がもたらすものです。

夜空に広がる無数のきらめきを、窓を通して眺めるような途方もない立体感は、絵画が平面であるという常識をごく自然に忘れさせてしまうほど。心を洗うような極めて繊細なグラデーションの中を、大胆に覆いかぶさる影。

遥か彼方から降り注ぐような光の表現は、何万光年という無限とも思える距離を感じさせ、美しさなどという一言では表せないような神秘性さえ宿っているようです。植物の断面を描いた「Life]、暖かな季節の訪れを感じさせる「春香 Ⅳ」などモチーフの異なる作品も、奥行きのある緻密な描写が、脈を打つ音が聞こえて来そうなほど独特の瑞々しさを放っています。

自然に対するとどまることのない興味・膨らみ続ける想像力。氏が全身で自然と対峙する姿こそが、眼前に迫り意識さえ飲み込んでしまうような作品を生み出す力になっているのかもしれません。

展示情報

展示名:薦田梓 展 – すべてのはじまり –
作家:薦田梓(コモダアズサ)| ウェブサイトツイッターフェイスブック
期間:2017年10月23日(月)~11月4日(土)

展示場所:十一月画廊
最寄り駅:銀座
所在地:東京都中央区銀座7-11-11 長谷川ビル3F