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展示レポート

眞鍋惠美子 個展「異次元からのメッセージ」

2018年9月に開催された、画家・眞鍋惠美子 氏の個展「異次元からのメッセージ」のレポートです。

眞鍋氏は80年代後半から独学で絵の制作を開始し、90年代から毎年個展を開催するなど東京を中心に数多くの展示活動を行っています。

初期の頃は油彩、アクリル、水彩、コラージュなど様々な手法を用いて制作を行っていました。2000年に和紙と墨という伝統的な素材に出会い、以降は墨とアクリル、墨と水彩など新たな表現に挑戦していきます。

近年では「地球を俯瞰する」という宇宙的な視点やメッセージをテーマに、墨を用いたモノトーン作品や灰色を大胆に配置した新シリーズなど、表現の可能性を追求しています。

また毎日のようにコラージュ作品を制作するなど、その意欲と活動の幅は広がり続けています。

今回の個展は35回目となり、眞鍋氏が以前から馴染みのあるギャラリーGKで開催されました。「GRAY」シリーズやコラージュの新作を中心に、墨とインクを用いた「SPACE」シリーズなどが展示されました。

 

展示のようす

▲新作「GRAY」シリーズです。金属的な色を放つグレーと、眞鍋氏が描き続けてきた墨による表現が組み合わさっています。

「GRAY Ⅳ」

▲無機質な印象をもたらすグレーの大胆な配置と、奥行きを感じさせる墨の色合い。心象的な窓、もしくは近未来的な建造物を思わせるようです。

「GRAY Ⅲ」

 

「COLLAGEⅠ」

▲毎日のように制作しているというコラージュ作品。眞鍋氏は活動を開始した当初、音楽シリーズや都市シリーズを制作していたこともあり、線や形の伸びやかな描写は軽快なリズムを刻んでいるようにも見えます。

作品数が多いため、展覧会前には選定が大変なこともあると眞鍋氏は語ります。

「COLLAGE」

 

「SPACE Ⅱ」

▲「SPACE」シリーズは、宇宙から地上を俯瞰した景色が描かれています。和紙と墨が用いられており、緻密な線と相まって昼夜せわしなく動き回る都市を想像させます。

 

▲左の作品は展示タイトルにもなっている「異次元からのメッセージ」です。

宇宙の彼方から発信された警告の意味が込められており、躍動感のある線が幾光年という途方もない距離を感じさせます。他の作品とは異なる独特の質感は、和紙に墨を厚く塗ることによって表現されています。

▲会場には幅広い年齢の方が来ていました。洗練されたマットな色彩がもたらす絵画としての格好良さ、込められた壮大なメッセージ性など、様々な要素が年齢問わず惹きつけるのかもしれません。

▲ギャラリーGKは、入口となる通路の一面も展示スペースとなっています。こちらには背景を白のまま残した、コラージュ作品が展示されていました。

 

「COLLAGE Ⅱ」

▲ポップな形状と色使いが、今にも動き出しそうな楽しげな印象を放っています。タイルのようなモダンで楽しげな形状からは、陽気な音楽に包まれた街を行くような、わくわくとした想いを抱かずにはいられません。


昨年の個展に続き、本展でもテーマは宇宙となっています。タイトル「異次元からのメッセージ」の通り、遠い宇宙から見た景色、あるいは人類に向けて発信されたメッセージが表現されています。

「SPACE」シリーズに見られるモノトーンの描写は地上を表しており、硬い印象をもたらす質感は人間の営みというよりは、昼夜動き続ける都市や工業地帯を連想させます。

「異次元から届くメッセージは、今の世の人間に対する警告である」と眞鍋氏は述べています。これは、思いやりや優しさなど本来人間が持ち合わせていた感情を、ないがしろにしてしまっている現代人に対する警告――という意味であり、眞鍋氏すでに様々な形で地上に届いていると考えています。

幼い頃から、身の回りの世界を俯瞰するような視点を持っていたという眞鍋氏。毎日のように生み出される色彩豊かなコラージュ作品や彼方から地上を見下ろした景色など、豊かな想像力を感じさせる作品たちは、子供時代から培われた特異な視点がもたらしているのかもしれません。

慌ただしく過ぎていく日々の中で、ふと一日の終りに作品が頭をよぎることがあります。今日は「SPACE」「GRAY」のようなモノトーンの一日だったか、それとも「COLLAGE」のような奔放な色彩に満ちた一日だったか。

そんな個人的な面から、以前とは変わってしまった今という時代についてまで、様々な視点で考えるきっかけを与えてくれるような印象深い展示でした。

 

展示情報

展示名:異次元からのメッセージ
作家:眞鍋惠美子
期間:2018年9月24日(月)~9月29日(土)

展示場所:ギャラリーGK
所在地:東京都中央区 銀座6丁目7−16 岩月ビルディング 1F

 

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