展示レポート
オチマリエ|よどみに咲く花
展示のようす
解説・鑑賞後記
2017年12月に開催された、オチマリエ氏の個展「よどみに咲く花」です。氏はアクリル絵の具、鉛筆などを用いて女性画を制作しています。2009年から展示活動を数多く行い、装画などの制作も手がけています。
本展では新作20点弱、ドローイング10数点が展示されました。展示タイトルは、あるがままの自分でいたいと思いつつも、素直にさらけ出すことができない。という作家の葛藤を意味しています。
暗闇の中に浮かび上がるように描かれる女性たち。人知れず夜闇の中で踊るようなその姿は、現実と空想の波打ち際にたたずむような、幽玄とした雰囲気を放っています。
水をまとうような生々しい肌は、光のベールに包まれるような独特の質感があり、この世のものとは思えない冷たい美しさの中にも、たしかに血が通っていることを感じさせます。
まどろむように薄く開かれた目。細い息を音もなく吐き出すような口元。押し込めた感情、さらけ出したい自分。そんな心の奥底でせめぎ合う様々な想いを、彼女たちは俯瞰しているようにも見えます。
氏は基本的に自分をモデルに作品を描いており、今回の展示絵画の中には顔が似ているものもあるそうです。素肌をさらし、黒い背景の中からぼんやりとこちらを見つめる姿は、精神世界のニュートラルな自分を表しているかのようです。
様々な感情に揺れつつも、常に変わらない素のままの自分。葛藤に頭を抱え、心がよどんでしまった時にこそ、彼女たちの姿を思い返してみたい。そんな想いに駆られるような印象的な展示でした。
展示情報
展示名:よどみに咲く花
作家:オチマリエ|ウェブサイト・Twitter・アート★アイガ アーティストページ
期間:2017年12月1日(金)~12月27日(水)|会期延長のため、30日(土)まで
展示場所:現代美術企画画廊 アート★アイガ
最寄り駅:地下鉄日比谷線八丁堀駅
所在地:104-0032 東京都中央区八丁堀2-22-9 宮地ビル2F