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展示レポート

大石早矢香 個展|愁うワタシタチ

2018年1月に開催された、大石早矢香 氏の個展「愁うワタシタチ」のレポートです。

大石氏は1980年、京都府生まれ。2004年に京都市立芸術大学を卒業後、多数の展示活動を行っています。SILVER SHELLでは2013年、2016年にも個展を行っています。

本展では壁掛け作品、小さな立体作品が主に展示されました。

展示のようす

「Direction」

 

「Direction」

 

「秘めリンゴ」

 

「秘めリンゴ」

 

「Manekineko」

 

「Direction」

 

「Pied」

 

「萌芽」

 

「萌芽」

 

「つまさ器」

 

「Memento-Mori」

解説・鑑賞後記

自由なモチーフがもたらす鮮やかな色彩、吸い込まれるような瑞々しい質感に目を奪われます。植物、生き物、人工物、あらゆるものが緻密に集合する様子は、まるで小さな町を覗いているようなスケール感があります。

分裂を繰り返し樹枝状に伸びたサンゴに、様々な生き物がすみかを求めて集まってくる。そんな幻想的な海中の風景を眺めているようで、水の流れ、時間の経過、空から降り注ぐ光など、様々な情景が頭のなかに蘇ります。

大石氏は作品制作について「選択の連続」と述べます。そこにどのような装飾がつくかは、隣接する装飾や過去の経験、新たな挑戦など様々な思いが駆け巡るなかからの一瞬の選択であると。

選択が繰り広げられることにより、作品には刹那の時間や意識が刻まれます。そしてその行為こそが、自らが求める「美」であると近年は感じているそうです。

随所に姿を見せる人体。奥底から這い出るような手足、何かを言いかけたかのように開かれた口元。血の気の薄い肌は、静寂とした美しさと共に死の匂いを放ちます。

枝葉に埋もれ、鮮やかな果物と並んだ四肢と骨。超現実的な異様とも思える情景は、作品から匂い立つ時間経過の一部のようにも感じるのです。

息を呑むような緻密さ、技術の到達点を見せるような立体的な造形。作品ひとつひとつの世界観に惹き込まれ、様々な想像を巡らさずにはいられない素晴らしい展示でした。

展示情報

展示名:愁うワタシタチ
作家:大石早矢香(オオイシサヤカ)|ウェブサイトブログfacebookInstagram
期間:2018年2月23日(金)~3月9日(金)

展示場所:SILVER SHELL(中央区京橋)
最寄り駅:銀座線京橋駅・都営浅草線宝町駅
所在地:〒104-0031 東京都中央区京橋2-10-10 KCビル1F

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